PR業界を志望するあなたへ
企業の看板社員であり、颯爽としたイメージで依然学生からの人気が高いPR業界。 ここでは、「PRとはどんなことか?」、「求められるスキルや適性は何か?」など、就職活動に役立つ内容を順次アップしていきます。 さらに、「実際のところ給料や将来性はどうなの?」という現実面にもクローズアップしていくのでお楽しみに!

PR業界を志望するあなたへ:第1回 PR業界とは(1)

きわめて地道な仕事

(1)業界として一本立ち

新聞  その業界が一人前の業界として認められるようになったことの一つ証しは、業界専門の新聞や雑誌が登場し、商業的に成り立つようになったとき、という説がある。

 その意味で、2005年4月、雑誌『PRIR』(宣伝会議)が創刊され、一般の書店に並ぶようになったことは、PR(パブリック・リレーション)業界がやっと一般にも認知されるようになった証明といえるだろう。それ以前にも学会の機関誌はあったが、一般の人が手にとるような内容ではなかった。

 『PRIR』創刊に合わせたように、同年9月の郵政解散にともなう総選挙の最中、PRエージェント、広報代理店という文字が、全国紙の紙面に載り、その働きぶりが大きく取り上げられ、一般の人の目に触れることになった。選挙は当初の予想に反し自民党の大勝に終わり、運動期間中の自民党広報本部の働きが各紙・誌に取り上げられ、PR作戦の成功が自民大勝の大きな要因とされた。そのときの広報本部長代理として、党のコミュニケーション戦略チームを率い実務を仕切ったのが世耕弘成参議院議員。世耕氏は元NTTの広報担当課長。PRの専門家だ。

(2)選挙大勝の影にPRエージェンシー

国会議事堂  小泉劇場といわれたあの時期、党内に大きな基盤をもたない小泉首相にとって、世論の後押しが唯一の頼りだった。分かりやすい「ワンフレーズ」で世論あおり、それをメディアで報道させ民意にフィードバック、再び民意をあおることは最も重要な戦略だった。そのために選挙運動でもPRの手法を活用したといえよう。

自民党のコミュニケーション戦略チームは、毎朝、新聞、テレビなどのメディアの報道内容を検討し、好意的な取り上げ方、否定的な取り上げ方、あるいは無視された場合などについてその原因を分析、どこに党幹部を送り応援させるかなど、分析結果を日々の広報活動に反映させるという作業をこまめに続けた。

もちろんこれだけをやっていたのではないだろうが、PRエージェントの目から見れば、広報活動の基本に忠実に作業を進めていたことがわかる。たぶんどのPRエージェントが担当しても、基本的には同じようなことをするはずだ。事実、世耕氏は自分のブログで広報本部の動きの一端を明らかにしているが、選挙後のマスメディアからの取材に対しては、こう答えたという。

 私が一貫してお答えしているのは、『奇手奇策を用いた訳ではない』ということ。コミュニケーション戦略チームの仕事は、客観的に報道状況を分析し、自民党のメッセージが十分に伝わっていない部分に関して日々反省と手法の見直しを行うという、極めて地道な作業であった。『広報』はあくまでもコミュニケーションの技術であって、悪い物を良く見せるといった手品のようなことはできない。今回はあくまでも郵政民営化を中心とする小泉総理と自民党の政策、姿勢、覚悟が国民に評価されたのであって、広報はあくまでもその補助をしたに過ぎない。

投票箱  世耕議員は「あくまで補助」といっているが、コミュニケーション戦略チームに加わっていたPRエージェンシーの働きに注目が集まり、PRエージェンシーの働きによって選挙に勝てたように言われることさえあった。もっとも、民主党も外資系のPRエージェンシーと契約していたから、腕のいいPRエージェントをうまく使うと、厳しい選挙でも勝ことが可能だというべきなのだろう。 選挙がらみのPR活動は、PRのなかでも一番厳しい部類に入るが、どのようなPR活動であろうと、実際の業務の中身は、世耕氏の言葉のように地味な作業の積み重ねだ。

(3)さまざまな新しい業務が登場

 PRエージェンシーの仕事の典型として、企業から委託を受け、その企業の新製品についてのニュースリリースを作成、新聞・テレビなどのメディアに送付することによって、記事や番組で取り上げてもらい、企業がターゲットとする、たとえば主婦などの購買意欲を高めるといった活動をあげることができる。広告が、企業からターゲットに直接情報を送りつけるの対して、PRはいったんメディアに情報を渡し、メディアが情報を取捨選択しまた変形してからターゲットに送るという、第三者を経由するという点で大きな違いがある。

メディアへ情報提供の方法として、記者発表会やメディアを訪問してのプロモートなどがあり、情報を届けるための器としてのニュースリリースやニュースレターの作成、広報誌の制作がされる。それらをサポートするための各種調査、またメディアリストの整備もされる。

最近では、商品やサービスのプロモーションに直接結びつく商品広報だけではなく、企業イメージの確立や向上のための企業広報、その企業への投資を獲得するためのIR(インベスター・リレーション)広報や危機管理広報が大きな比重を占めるようになってきている。

 PRエージェンシーは、これら企業の広報活動を支援するのが業務であるが、そのすべてを1社でまかなうことは難しく、また、対象にするメディアについても、新聞に強いとか、女性誌が得意、あるいはテレビ業界と強いつながりをもっているとかそのPRエージェンシーによって得手不得手がある。

 また、商品のプロモーションでは、PR活動を先行させ、商品発売の時点で広告を打つなど、多くの場合、広告とPRは連動することが多い。しかし、広告に比べ、PRはメディアという第三者をいったん通すためより間接的であり、息の長い活動となる。そのため効果が分かりにくいという、難しさを抱えてもいる。

(4)社会の細分化に対応するPR

 大衆から「分衆」、そして「固衆」へと消費者の意識が変化し、それぞれが自分の好み、嗜好を強く求めるようになっている現在、広告の費用対効果は低下してきている。かつての大量生産、大衆消費社会では、誰もが他人と同じ商品をもちたいと思い同じものをもつことで満足していた。しかし、今では他人と同じものをもちたくないという意識が高まり、環境保護意識の高まりもあり大量生産大量消費は成り立たなくなっている。

このような社会では、細分化された消費者の嗜好をターゲットとするためには、広告も細分化せざるを得ないが、それを実行すればコストが高まる。一方、ある程度ターゲットの範囲を広げれば、広告の効果が下がるというジレンマに陥る。

メディアの変化も重要である。個人がそれぞれの好みを主張し、見たいもの、知りたいものにしか関心がなくなってきているため、新聞や雑誌の発行部数が減っている、テレビでさえも、見たい番組だけをDVDレコーダーやHDに録画し、望みの時間に、“CM飛ばし”をして見るというスタイルが広がれば、ますます、広告の効果が落ちてくるということになる。

 PRの場合も、このような細分化され孤立していく個人への対応は重要になるる。これまでのような既存のマスメディアだけに依存した活動であれば、既存マスメディアの衰退とともに、PR活動の場も狭まってくることになる。その点で、双方向でネット利用者自身が情報を検索してくるため、ターゲットに迫りやすいネットPRの重要性が高まっている。

iインターネット PRもインターネット、メディアとしての携帯電話など新しいメディアやメディアの融合(メディアミックス)への対応を進めることにより、新たなPR手法を生み出し、今後さらに進む、細分化された社会状況に対応すれば、さらにPRの活動の場は広がり、可能性はさらに大きくなると考えられる。

2015/09/01
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